黎明期:個食と衛生意識の芽生え (明治〜戦前)
日本の学校給食は、1889年に山形県の小学校で貧困児童を対象に始まったとされています。この時代は統一された食器はなく、弁当箱や家庭から持参した器が主でした。衛生観念の向上と共に、食器の重要性が認識され始めましたが、全国的な普及には至りませんでした。

時代と共に変化してきた給食の風景。その中心にあった「食器」の変遷を、インタラクティブな体験を通して紐解いていきましょう。素材の進化から、背景にある社会や文化の移り変わりまで、小さな食器が語る大きな物語を発見してください。
日本の学校給食は、1889年に山形県の小学校で貧困児童を対象に始まったとされています。この時代は統一された食器はなく、弁当箱や家庭から持参した器が主でした。衛生観念の向上と共に、食器の重要性が認識され始めましたが、全国的な普及には至りませんでした。
終戦後の食糧難の中、子どもたちの栄養改善のため学校給食が全国で再開・普及しました。この時代を象徴するのが「アルマイト」製の食器です。軽くて丈夫、そして衛生的であることから急速に広まりました。銀色の質素な器は、多くの人々の共通の記憶として刻まれています。
日本の経済が豊かになるにつれ、給食食器も進化しました。アルマイトに代わり、より丈夫で傷がつきにくいステンレス製が登場。また、パン給食の普及に伴い、四角い仕切り付きのプレートや、ポリプロピレン(PP)製の安価でカラフルな食器も現れ、食卓が華やかになりました。
「食育」の考え方が重視され始め、食器の「温もり」や「質感」が見直されるようになりました。金属食器の冷たさや味気なさが指摘され、家庭的な雰囲気を持つ強化磁器やメラミン樹脂製の食器が導入され始めます。割れることのリスクよりも、モノを大切に扱う心を育む教育的価値が重視されました。
現代の給食食器は多様化を極めています。軽くて丈夫なPEN樹脂(ポリエチレンナフタレート)などの高機能プラスチックが主流になる一方、地産地消の一環として地域の伝統工芸品(漆器や陶器)を取り入れる学校も増えています。環境への配慮から、リサイクル可能な素材や持続可能な選択肢も模索されています。
給食食器の主役となった素材たち。それぞれの長所と短所は何だったのでしょうか。以下のチャートで、耐久性、衛生面、コスト、質感、熱伝導性の5つの観点から各素材の特性を比較してみましょう。下のボタンで表示する素材を選択できます。
食器の歴史は、単なるモノの歴史ではありません。当時の食文化や教育方針など、様々なテーマと深く結びついています。興味のあるテーマをクリックして、さらに学びを深めましょう。