午前おやつ編

午前おやつ編🌞

前の章で「1日の食事の流れ」を全体的に確認しました。
ここからは、各食事をパートごとに深掘りしていきます。

まずは午前おやつ🌞

「なぜ午前おやつが必要なのか?」
「どんな内容が適しているのか?」

そんなポイントを、根拠を示しながら整理していきましょう。

❓ 午前おやつはなぜ必要?

🧒 提供対象

未満児(0〜2歳児)のみ

👶 0~2歳児のからだの特徴


👦 3歳以上はなぜ不要?

🍪 朝おやつの内容は?

朝おやつの内容は、園の方針や子どもの発達段階によってさまざまです。

👉 ポイントは 昼食に影響しない内容にすること。これは、食べ物がどのくらい胃に残るか(胃内停滞時間)を目安に考えるのが基本です。

⏱️ 胃に食べ物が残る時間(目安)

食べ物がどのくらい胃にとどまるかは、摂取量と栄養素の種類によって変わります。

🥛 牛乳の場合

  • 75ml → 約1時間〜1時間15分
  • 200ml → 約2時間
  • 400ml → 約2時間30分

🍙 栄養素別の違い

  • 糖質 → 比較的短い(約1〜2時間)
  • たんぱく質 → 糖質の約2倍(約3〜4時間)
  • 脂質 → さらに長い(約4〜5時間以上)

👉 脂質の多い食品は消化に時間がかかり、昼食時の食欲を低下させるリスクがあります。

👉 保育園の献立では、この「胃内停滞時間」を参考にしながら、昼食に響かない軽い補食(糖質中心+少量)を選ぶことが大切です。

⚠️ 注意点

  • これらはあくまで「目安」で、子どもの年齢や食材の調理形態(液体・固体・繊維質の有無など)によって前後します。
  • 特に乳幼児は胃腸機能が未熟なため、同じ食品でも大人よりやや消化に時間がかかる傾向があります。

📝 おやつの具体例

✅ 午前おやつに適している食品

👉 消化がよく、短時間でエネルギーになる食品

  • 普通牛乳(量を75〜100ml程度に調整)🥛
  • 野菜ジュース・100%果物ジュース🥕
  • せんべい・コーンフレークなど糖質中心のおやつ🍘
  • バナナなど消化の良い果物🍌
  • 低脂肪ヨーグルト🍦

❌ 午前おやつに適さない食品

👉 脂質が多く、胃に長くとどまる食品や過剰摂取

  • 200mlを超える量の普通牛乳🥛
  • クッキーなど脂質の多い焼き菓子🍪
    👉脂質10%以下を選び、なおかつ少量に抑える(1枚程度)
  • 全脂ヨーグルトも少量なら可。ただし摂りすぎると昼食に影響🥛

具体例(50〜100kcal目安)

1️⃣ 🥛 牛乳+カルシウムせん(かしわ堂)
牛乳:75〜100ml(50〜67kcal)
せんべい:1枚(約15kcal)
👉 合計 65〜82kcal
2️⃣ 🍠 牛乳+ふかし芋
牛乳:75〜100ml(50〜67kcal)
ふかし芋:15〜20g(約20〜26kcal)輪切り1〜2枚
👉 合計 70〜93kcal
3️⃣ 🍌 牛乳+カットバナナ
牛乳:75〜100ml(50〜67kcal)
バナナ:20〜30g(約17〜26kcal)1/4本〜1/3本程度
👉 合計 67〜93kcal
4️⃣ 🍪 牛乳+ビスコ(2枚)
牛乳:75〜100ml(50〜67kcal)
ビスコ:2枚(約37kcal)
👉 合計 87〜104kcal

✅ まとめ

「1日の食事の流れ編」でも触れましたが、「保育所における食事の提供ガイドライン」では、

📌 昼食=1日の栄養量の約1/3

📌 間食=1日の10〜20%を目安

と示されていましたね。

🔍 厚労省「食事摂取基準2025年版」より

・1〜2歳児
男児:950 kcal/女児:900 kcal
👉 およそ 900〜1000 kcal/日

・3〜5歳児
男児:1300 kcal/女児:1250 kcal
👉 およそ 1250〜1300 kcal/日

この「間食=10〜20%」のうち、午前おやつは5〜10%程度
👉 50〜100 kcalくらいが目安 になります。


🔍 ポイント

午前おやつで大切なのは、昼食に影響しないこと
そのために、胃内停滞時間(食べ物がどのくらい胃に残るか) を意識しましょう🕔🍙

✨ 午前おやつは、軽めに調整することで、昼食をしっかり食べられるリズムが整います😊🎶

📚 栄養学の豆知識 📚
午前おやつと昼食摂取量の関係

研究やガイドラインでも、午前おやつの内容や量はその後の昼食摂取量に直結することが報告されています。

🥛 牛乳を200ml以上与えると
胃容量を大きく占めるため、昼食の主食やおかずの摂取量が減少しやすくなります。
👉 小児栄養学の知見でも「牛乳の過剰摂取は食欲の減退や鉄欠乏につながる可能性がある」と注意されています。特に乳幼児では、牛乳の飲み過ぎによる鉄欠乏性貧血のリスクが指摘されています。

🍪 脂質の多い焼き菓子
脂質は糖質やタンパク質よりも消化に時間を要するため、胃に長くとどまりやすく、昼食時に空腹感が戻りにくくなります。
👉 『基礎栄養学 第5版』(日本栄養・食糧学会, 2020)でも「脂質は胃内停滞時間を延長させる」と明記されています。

🍘🍎 糖質中心の軽食(せんべい・果物・少量の牛乳など)
比較的早く消化されるため、昼食への影響は少なめです。
👉 『給食管理実務 2021』(日本栄養士会)や、海外の幼児を対象とした調査(Nicklas et al., 2001, Journal of the American Dietetic Association)でも「果物やクラッカーなど軽いおやつは、適量であれば昼食摂取量に大きな影響を与えない」と報告されています。

👉次回はあおい流・チャート式献立作成法「昼食編」です