保育園での給食実施が適正か否かを判断するのが、保健所などにより実施される「給食指導監査」。
定期的に園の記録の確認が行われるため、記録書類が重要となります。
監査内容は全国ほぼ共通ですが、地域の保健所や市役所監査部などが「栄養指導票」や「給食評価マニュアル」を用意しています。
監査の基本となるガイドライン
- 保育所における食事の提供ガイドライン
(平成24年 厚生労働省) - 児童福祉施設における食事の提供ガイド
(平成22年7月 厚生労働省) - 食事摂取基準2015年版
(平成27年度~平成31年度 厚生労働省) - 日本食品標準成分表2015年版(七訂)
(平成27年 文部科学省) - 大量調理マニュアル
(平成29年6月 厚生労働省)
「食事の提供ガイドライン」と「大量調理マニュアル」には評価項目が見られます。
これはお手本ですので、これをモデルに給食管理を行うとよいでしょう。
給食管理について、必要書類と共にご紹介します。
事前に把握しておきたい3つの給食管理
給食管理は大きく分けると
1.食育
2.栄養管理
3.衛生管理
に分類され、それぞれ計画/実施/評価 の流れがあり、記録を付けながらこれを繰り返します。
1.食育
給食献立は、食育方針に沿って作成されるので、園の食育計画が給食管理の基礎です。
食育計画は年単位で作成し、実施、見直しとなります。
給食の献立表を毎月各家庭に配布します。
この目的は、給食内容の情報共有と家庭向け食育の推進です。
必要書類
- 家庭配布用の献立表
- 給食だより
- 年間食育計画表
- 調理保育計画書
2.栄養管理
栄養管理の計画は、次の3段階で行います。
①子どもたちの、発育・発達状況(身長・体重など)、栄養状態(家庭の食事)、生活状況(保育時間)を把握。
年齢・性別を基に食事摂取基準値から、園の給与栄養目標量を算出。
②算出した給与栄養目標量を満たす食品構成を考える。(地域により食品群別成分表など呼び名が異なります)
③日々の予定献立を、栄養目標量、食品構成を考慮しながら作成する。
予定献立表には、日付、献立名、材料名、分量、総使用量を記載。
実施は、この予定献立表を基に適切に食材を仕入れ、調理し、配膳、提供すること。
評価では、提供した献立の栄養量の分析・評価を行う。その際、次の情報を基とする。
- 子どもの食べている様子と残食量
- 検食簿の評価やコメント
- 月間の栄養価
- 月間の食品群別給与量
必要書類
- 各園児の成長曲線
- 園の給与栄養量
- 予定献立実施表
- 食材発注書と納品書
- 給食日誌
- 検食簿
- 栄養出納帳
- 栄養管理報告書
(特定給食施設は年に2回、栄養管理報告書を所轄の保健所を通じて知事に提出することが、健康増進法で定められています。5月・11月に実施した給食について、翌月に報告します。)
その他、日計表や受払い簿などが必要な場合もあります。
3.衛生管理
実施時には、保健所から提示された項目と、大量調理マニュアルの項目をチェックします。
定期的に見返し、適正に衛生管理が実施できているかを分析・評価することが大切です。
書類
- 施設設備の衛生・温度点検表
- 提供給食・調理の温度管理表
- 調理従事者の衛生管理チェックリスト
- 検収記録簿
まとめ
監査に不慣れな場合、遅くまで給食室の掃除や書類整理…などあるかもしれませんが、監査官は衛生管理・栄養管理のプロです。
調理師さんたち含め、皆で色々学ぶ機会とすれば、監査の日が意義あるものとなります。
効率良くするには、どのように管理するべきか迷っている場合など、相談すれば優しく教えてくださいますよ。
11月頃に栄養管理報告書を提出する地域が多く、同時期に監査を行う地域もあります。
監査に慌てないためにも、日々の栄養・衛生・書類管理をきちんと行い、安全な美味しい給食を子どもたちに提供したいですね。